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ニオイで思い出した記憶

絆創膏をはがしたあとの臭いが好きな人はけっこういるらしい。

ワタシもけっこう好きだ。


先日、うっかり指先をケガしたので絆創膏を巻いた。しばらくたって剥がしたら、絆創膏のスポンジに当たっていたヒフが真っ白になっていた。


思わず嗅いでみるとやっぱりくさい。物心ついてから何度この臭いを嗅いだだろう…あれは運動会だったか、工作をしたときだったか…


具体的に思い出そうとしたものの、この臭いを嗅いだ人生の各場面についてはほとんど覚えていなかった。ただ、あーコレは嗅いだことがあるなぁとなつかしさを感じる(ような気がする)…


そんなこんなを思い浮かべつつ雑事でバタバタしていたら、絆創膏を剥がした指に、焼き肉のタレがついてしまった。


思わず指を嗅ぐとキケンな香りがした。カツーンと鼻の奥に響く刺激臭、これはアレだ。ガス漏れの臭いだ。


そこで思い出したのは、とある漫画の一場面だった。



超美人のお嬢様(麗子)が、まちがえて歯磨き粉で洗顔していたら、顔にブツブツができてしまう。


絶望した麗子は、ガスの栓をひねり、部屋に横たわる。

目を閉じて静かに世界に別れを告げようと…、

そこに響きわたる機械の声。


『ガスが漏れていませんか⁉︎』


ガス漏れ警報機のアナウンスに、ビクッとして目を開ける麗子。

心臓をバクバクさせながら、麗子は思う。こんなうるさい声の中じゃ、ムードが無さすぎてダメだわ!


その場面には、たくさんの吹き出しが散らばっている。

『ガスが漏れていませんか⁉︎』

『ガスが漏れていませんか⁉︎』

『ガスが漏れていませんか⁉︎』

部屋中に散りばめられた吹き出しに混じって、小さな手書き文字がひとこと混じっている。

『ブスが漏れていませんか?』


ワタシはこういう小技に弱いので

、ここで笑った。いや、真顔で面白さを噛みしめたのか、どちらだったかは覚えていない。覚えているのは、とにかくその吹き出しが印象的だったことだ。


漫画の面白さのひとつは、ジャンクな感じにポロっと何かが紛れこむことかもしれない。


その後、何かふっきれた麗子が超美人のころにできなかったこと(立ち食い蕎麦屋に入る等)を楽しみはじめるあたりも、たしか相当面白かった。


ワタシもガツンと王道のコメディが描いてみたいなぁと思う。はやく描かねば。