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モヘジの喝

日曜18時。ユーツだ。
床に転がって憂いていても仕方ないので、なにか話を考えてみる。


ひょんなことから、海苔で本を作るのがブームになった城下町。時は江戸時代。

文字は型抜きで、破らないようにソッとページをめくる。
海苔と海苔の間には薄い餅が挟んで
あり、読み手は餅を食べながら読み進める。

1日に何ページ読めるかは、何枚の餅を食べれるかにかかってくる。
餅を制す者は書を制す。屈強な胃袋と知を兼ね備える者として、多読家はモテモテになった。

そんなこんなで、町では餅屋と海苔屋、味噌屋がにわかに繁盛する。
味噌は消化を助けるとのことで、読書のおともに、竹筒に入ったポータブル味噌汁が飛ぶように売れたという。

さて、モヘジは困っていた。
モヘジとは、ここでトートツに現れた主人公。
その顔は、遠目に見ればなかなかの美男子、近くで見れば眉はへの文字、目はメの文字、鼻口顔型はモとへとジの文字。ヘメヘメモヘジであった。

モヘジは読書ブームにあやかり、ひとつモテてみようと本を買い集めた。売り切れる前にと思い、一度に百冊買った。

しかしモヘジの胃は、飛びぬけて消化が早いわけではない。というかむしろ、遅いほうだ。

朝昼晩、好物の団子も口にせず、餅を味噌汁で飲み込みながら読み進めても、一日に五冊を消化するのが精いっぱいだった。

数日後。今日はどれを読んでやろうかと、本の山を見やると、ややや。なんと、餅にカビがでている。

あゝもったいない、というか、そもそも本を海苔と餅でつくる気になったのはどこのどいつだ。まったく、躍らされて阿保なことになったもんだ。

このままでは、腹の虫がおさまらねぇ。モヘジは、海苔と餅の本をつくったやつをとっちめてやろうと、顔をうつむけて腕組みをした…

…いや、何がおかしいって、おいらの顔がヘメヘメなのからしておかしい…こんな野暮な設定にしたのはだれだ…モヘジはハッと顔を上げると、朝日の射し込む障子の一角、白い和紙に向かってこう言った…

やいっ、そこのスットコドッコイ!寝転んでタッチパネルでヘラヘラてきとうに書いてるんじゃねぇよ、たまには卓に向かって紙に墨で書いてみやがれってんだ、おうおうおう!




時空を超えてキャラクターに怒られてしまった。イチから書き直すべし。紙に墨で。